2020年12月6日(日) 9:00~10:30
ミーティングルームA(ZOOMライブ配信)

オーガナイザー
瀧本禎之(東京大学)
長尾式子(北里大学)

  • 東海大学医学部付属病院倫理委員会の概要と臨床倫理委員会をめぐる今後の課題
      竹下啓(東海大学)
  • 東京慈恵会医科大学柏病院臨床倫理委員会・コンサルテーションチームの活動について
      三浦靖彦(東京慈恵会医科大学)
  • 当院での活動の紹介と臨床倫理支援のあり方について
      金田浩由紀(関西医科大学)
  • 琉球大学病院臨床倫理委員会の概要とその在り方に関する検討
      金城隆展(琉球大学医学部附属病院)

オーガナイザー報告

研究倫理の審査を担う倫理委員会については、人を対象とする医学系研究の倫理指針で、役割・責務、構成などを定めており、医学系研究に関連する情報の共有、意見交換の機会として、医学系大学倫理委員会連絡で連携が諮られている。一方、臨床の倫理的問題を支援する倫理委員会については、学会、医師会のガイドライン、医療機能評価機構の病院機能評価項目などに、臨床倫理に関する取り組みや倫理委員会に関する言及はあるものの、規定や連携はまだない。そこで、我々、臨床倫理コンサルテーション部会のメンバーは、病院・臨床倫理委員会のあり方について、東海大学の竹下啓先生、東京慈恵会医科大学の三浦靖彦先生、関西医科大学の金田浩由紀先生に病院・臨床倫理委員会の設置から運営と、現時点での課題について発表いただき、病院・臨床倫理委員会のあり方を議論することを企画した。

竹下先生は、2010年に設置された病院倫理委員会に2019年から臨床倫理部会を下部組織として設置し、院内の倫理指針の素案作成や、倫理支援チームによる倫理コンサルテーション活動を行っていることを紹介した。三浦先生からは、附属柏病院にのみ臨床倫理委員会があり、委員会の下部組織として臨床倫理コンサルテーションチームを設置し、多職種で構成したチームで支援活動を行っていることが紹介された。金田先生は、病院機能評価の受審を機に院内指針の作成、見直しを担う臨床倫理委員会と、別途、個々の事例の倫理的問題の助言機能を有する倫理コンサルテーションを新規設置していることを紹介した。

Q&A機能を用いてフロアーから多くの質問を受け、更に多くの情報が得られた。研究倫理委員会と臨床倫理委員会の間での情報や人材交流については、臨床倫理委員長が、研究倫理委員会のメンバーに選出されている施設もあれば、交流していない施設もあった。臨床倫理委員会と倫理コンサルテーションの仕組みとの関係性も病院に応じて異なっていた。倫理コンサルテーションの依頼が緊急である場合の支援の仕方についても多様であった。倫理コンサルテーションを担う者が臨床倫理の専門的教育を受けた人であるべきか否かは、倫理コンサルテーションの仕組みによって異なり、専任で活動するチームメンバーは知識やスキルの専門性が問われるが、事例に応じてメンバーを選任する支援活動のメンバーは、必ずしも臨床倫理の専門性を問わないという意見があった。倫理コンサルテーションのメンバー確保、質の保証については、課題として共通認識することができた。大学病院においては、先端治療実施の是非や終末期医療ケアの是非など、判断が難しい事例が多いこと、病院・倫理委員会の設置が促進される傾向にあるため、病院・臨床倫理委員会コンソーシアムを開催し、ネットワークを構築する計画があることが公表された。

長尾式子(北里大学)