日本生命倫理学会

書籍紹介・コラム

書籍紹介

狂気な倫理-「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定-

小西真理子・河原梓水編著、晃洋書房、2022年

 本書のコンセプトは、これまで「正常人」たちの言葉や思考を押しつけられていた「狂人」たちが、正常人の社会から奪った「理論」という武器を手にすることで、みずからの言葉と思考をもって「狂気」の側から反撃するというものです。

書籍紹介

エンドオブライフケアの臨床倫理

箕岡真子著、日総研出版、2020年

 ACPの歴史的背景から理論・実践事例まで網羅している。第1章は、患者の自律の権利確立の動きに焦点を当て、エンドオブライフケアにおける臨床倫理の役割と、その歴史的発展の軌跡をたどる。第2章は、エンドオブライフケアの倫理的問題に対処するアプローチとして、「ACP」と「倫理コンサルテーション」の基礎と実践について。第3章は、悪性腫瘍や慢性疾患、認知症のケースを通じて、エンドオブライフケアの倫理的問題解決の基本的考え方を知ることができるように構成されている。

書籍紹介

抜け殻仮説への挑戦-認知症の人の「自律」の概念を考える

箕岡真子著、三省堂書店、2022年

 認知症になると抜け殻になってしまい、自分では決められないのか―「自律」は自己決定と結びつき、現代の医療現場の意思決定の中心的価値である。本書は、自律の持つ「正」と「負」について論じ、自律を一旦解体し、その後、自律を統合する再概念化に挑んでいる。そして、自律の概念には“ゆらぎ”があることを指摘し、これまで社会が自明としてきた排除のためのボーダー(線引き)を、「インクルーシブ」(包み込む)にするためにはどうすればいいのかを問うている。

書籍紹介

看護学テキストNiCE看護倫理:よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第3版

小西恵美子編著、南江堂、2021.1

 本書の初版は2007年です。当時は、国内に看護倫理の教科書はなく、欧米や他職種(医師・生命倫理学者)の知識に頼っていました。看護職である著者一同は、日本の社会と看護・医療に即した看護倫理のテキストを自分達で著し、看護倫理の枠組みと諸概念を示したいと考え、この本を書き下ろしたのでした。以来、日々の看護実践を見つめた倫理の書として、学生のほか教育者・実践者にも広く親しまれています。

書籍紹介

スローエシックスと看護のアート:ケアする倫理の物語

Ann Gallagher著 / 宮内信治・小西恵美子訳 、 南江堂、2022年

 EthicsにSlowを組み合わせた「スローエシックス」は、6つの要素―「感受性」「連帯」「スペース」「持続可能性」「学問」「物語」をもつ。それぞれについて、実際にあったケアの「物語」 を中心に考察し、効率や新規性が重視される医療・ケアとその倫理を、「目先に囚われずに深く状況を見る」、「過去の知に立ち返る」、また「持続可能な」ものへと進めていくよう 呼びかける。その主張を、日本の小説を含む多数の文献から裏付けている。

書籍紹介

合成生物学は社会に何をもたらすか

島薗進/四ノ宮成祥 編著
木賀大介、須田桃子、原山優子 著
専修大学出版局、2022年

 本書は、先進生命科学が引き起こす倫理的、法的、社会的問題などについて合成生物学の面から焦点を当てたものです。東京大学名誉教授の島薗進先生と共同編集させていただきました。第1章から第4章の内容は、以前ゲノム問題検討会議の場において発表、議論したもので、今回その内容をもとに加筆、情報付加を行い、1冊の本としてまとめ上げました。

書籍紹介

病と健康をめぐるせめぎあい—コンテステーションの医療社会学

佐藤純一、美馬達哉、中川輝彦、黒田浩一郎編、ミネルヴァ書房、2022年

 本書は、私もメンバーの一人である「医療社会学研究会」による研究成果を出版したものである。情報委員会から、書籍紹介の機会をいただいたので、社会学の知見が生命倫理学とどう関わるのかについて、日ごろ思っていることを書き留めておく。
 本学会には、生命倫理学という分野が領域横断的な性質を持っていることを反映して、さまざまな分野の会員が所属している。そして、本書は、(医療)社会学の書籍ではあるものの、生命倫理学を考える上で、重要なポイントが含まれている。

書籍紹介

臨床倫理の考え方と実践:医療・ケアチームのための事例検討法

清水哲郎・会田薫子・田代志門 編著,東京大学出版会, 2022.1

 臨床現場で医療・ケアを進めていく際に起きる「どうすればよいか」という問いは、倫理的な問いであり、臨床倫理がその問いに対応します。医療・ケア従事者と人文・社会系研究者(臨床倫理プロジェクト)とが共同で、こうした問いにどのように取り組むかを30年かけて開発してきました。その成果をまとめた本書を「臨床倫理事例検討法の決定版」としてここにご紹介します。 

書籍紹介

〈反延命〉主義の時代 ー安楽死・透析中止・トリアージ

小松美彦・市野川容孝・堀江宗正 編著、現代書館、2021年

 本書は、「人生の最終段階において無益な延命治療をおこなうべきではないとするような風潮」を「〈反延命〉主義」とし、それを批判的に解明することを目的とするものである。 

書籍紹介

『続・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)- 菅内閣と緊急事態宣言』

飯田泰士 著、現代企画室、2021年

 本書は、『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)』(現代企画室、2020年)の続編です。そして、本書では、国内外の資料に基づき、新型コロナウイルス感染症に関して、菅内閣発足時から2回目の緊急事態宣言の終了時までのことを中心に、述べました。   

書籍紹介

命をどこまで操作してよいかー応用倫理学講義

澤井 努 著、慶應義塾大学出版会、2021年

 本書は、私が2017年に前著(『ヒトiPS細胞研究と倫理』、京都大学学術出版会)を出版して以降、先端科学技術を開発する研究機関で取り組んできた生命倫理学研究の成果です。本書が扱う先端科学技術は、社会を大きく変えるインパクトを持っているだけに、私たちはまさに今、(本書の書名にもなっている)「命をどこまで操作してよいか」という喫緊の問いに取り組む必要があると考えています。

書籍紹介

みんなのやさしい生命倫理「生老病死」

谷田 憲俊著,NPO医薬ビジランシセンター,2021年

 本書は、著者が編集委員を務める医薬品情報誌『薬のチェック』に長年連載していた「みんなのやさしい生命倫理」であり、以下のような構成となっている。
 序 章 個人と社会のはざまで-どうして人を殺してはいけないの?
 第1章 死と生、愛と性-いのちが生まれる土壌
 第2章 出会いからカップル成立まで-何に惹かれるか
 第3章 婚姻-ひかれあう生命
 第4章 生まれる人間の尊厳とは-人工妊娠中絶と生命倫理
 第5章 生殖補助医療-生命倫理より技術が先行
 第6章 延命治療とその拒否-どこからが“助けるべき生命”か

書籍紹介

患者・家族と一緒につくるアドバンス・ケア・プランニングノートー話して書いて患者の「希望」を見える化しよう

角田ますみ編著、メヂカルフレンド社、2021年

 本書は、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:以下ACP)の基本的な知識から具体的な取り組み方法、様々な医療・ケア分野におけるACPの特徴を網羅し、ACPの「最初の一歩」を踏み出す時に参考になるような内容を心がけました。

書籍紹介

医療・看護に携わる人のための人権・倫理読本

村岡 潔・山本 克司 編著、法律文化社、2021年

 本書は、医療現場で働く人々や、それを目指す医学生・看護学生、さらには介護者や社会福祉士のような医療・看護の現場に携わる人々向けに編まれた人権・倫理の手引書です。      

書籍紹介

生命をめぐる葛藤-ドイツ生命倫理における妊娠中絶、生殖医療と出生前診断-

小椋 宗一郎 著、生活書院、2020年

 本書は、妊娠中絶や出生前診断などの問題に、ドイツ生命倫理を通して、実践的に取り組むことを目的としている。なかでも「葛藤」というものが持つ倫理的意味に焦点を当てている。善/悪や正/不正を規定するのが「倫理学」なのだとすれば、きれいに「解決」できない問題を扱う本書の基本テーマは、そこから外れるかもしれない。しかし、ときに当事者の深刻な苦悩としても表れる「葛藤」は、原理的に、胎児の生命権と女性の人格権の衝突を基礎としている。のっぴきならない対立の狭間に身をおいて考えるべき、という直観が、本書を貫いている。      

書籍紹介

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

飯田泰士 著、現代企画室、2020年

 本書では、国内外の資料に基づき、新型コロナウイルス感染症に関して、2020年9月までのことを述べました。
 本書の目次の概要は、以下のとおりです。
Ⅰ 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Ⅱ 原因不明肺炎(Pneumonia of unknown cause)
Ⅲ コロナウイルス(CoV)
Ⅳ 緊急事態宣言(Declaration of a State of Emergency)
あとがき       

書籍紹介

認知症患者安楽死裁判 事前意思表示書か「いま」の意思か

盛永 審一郎 著/ベイツ 裕子 編集協力、丸善出版、2020年

本書は、「温室に並べられた鉢植え植物のようには生きたくない」と言っていた認知症のオランダ人女性のケースを取り上げる。2016年、老人介護施設で、後期認知症の女性を主治医が安楽死させ、これがオランダで2002年安楽死法施行後、初めて訴追される案件となった。女性は、介護施設に入るなら、安楽死してほしいという医師への「事前意思表示書」を書いていた。しかし、介護施設にはいらなければならないときには、自分ではもはや意思表示できなかった。医師は事前意思表示書に従った。腕に注射針を指したとき、患者は一瞬引っ込める素振りをしたりした。――

書籍紹介

日本における「健全な創薬文化」樹立へ―『製薬と日本社会』紹介―

奥田純一郎・深尾立/共編、上智大学出版/発行ぎょうせい/発売、2020

「日本における健全な創薬文化」樹立のためのフォーラムへの招待状である。昨今のコロナ禍は、いみじくも創薬の必要性・重要性を痛感させた。

インタビュー

研究室訪問 Vol. 6ー蔵田伸雄会員

「そもそも人生の意味とは何か」ということを考えることによって見えてくることがたくさんありました。生命倫理について、もう30年近く研究していますが、このように現実的な問題をいったん離れて「そもそも論」に戻ると見えてくることがたくさんあったのです。――「研究室訪問」の第6回目は、北海道大学の蔵田伸雄先生にお話を伺いました。

COVID-19の倫理 Vol. 6 ウェブで見られる資料集 第4報

COVID-19の倫理に関連するリンク集、第4報です。