2020年12月5日(土) 13:40~15:10
ミーティングルームC(ZOOMライブ配信)

オーガナイザー
丸山マサ美(九州大学大学院医学研究院)

報告者
鈴木美香(京都大学iPS 細胞研究所上廣倫理研究部門)
川勝和哉(兵庫県立姫路東高等学校)
丸山マサ美(九州大学大学院医学研究院)

コメンテーター
木村利人(早稲田大学)

オーガナイザー報告

本ワークショップは、中・高・大連携における“生命(科学)倫理”教育、課題解決型学習を考究する教育・研究者と共に、その実践報告を通して、中・高・大学連携におけるバイオエシックス教育の可能性を模索した。

第1題は、『中学生に対する課題解決型学習の試み-京都府における「未来の担い手育成プログラム」を通して-』と題し、鈴木美香(京都大学)が報告した。続いて、第2題は、『高等学校における生命倫理教育の実践と今後の展望』と題し、川勝和哉(兵庫県立姫路東高等学校主幹教諭)が報告し、続いて第3題として、 本ワークショップのコーディネーターである丸山マサ美(九州大学)が、『H高等学校グローバル人材育成プログラム「大学に学ぶ企画-病院キャンパスにおける6年間のバイオエシックス教育実践-」』を紹介した。

鈴木は、「未来の担い手育成プログラム」(企画・京都府教育委員会)へ協力機関として参画したiPS細胞研究所の取組み事例として、“誰もが安心してiPS細胞を用いた治療を受けられるようになるためには、どのようなことが必要か”という課題の下、「理由に基づく倫理」を意識した教育実践について紹介した。

川勝は、2006年、課題研究開始に伴い、“科学倫理”教育を始めた。当初、川勝自身のノウハウに頼る毎週の“科学倫理”教育から、2021年度には、高等学校新学習指導要領に教科「理数」が設置され、現在、川勝が着手する課題研究は、「探究」として教育課程に明確に位置づけられ、高校カリキュラムにシステム化された事を紹介した。

丸山は、6年間に亘る病院キャンパスにおける高校生のバイオエシックス教育の実際、特に2015年4月開館された“医学歴史館”見学における生徒の見学前後の著しい変化を述べ、高・大連携の重要性と共に、新たなバイオエシックス教育の「場」での取り組みを紹介した。

ワークショップ参加者から、質問者自身の教育実践と3題の報告を比較した質問・意見があった。最後に、コメンテーター木村利人(早稲田大学)は、米国ジョージタウン大学ローラ・ビショップ博士の生命倫理教育の実践にも触れながら、第3題の実践報告、及び本ワークショップ参加者の活発な質疑を受け、日本においても、教育者個人による『独立した教育実践』から『体系的な教育実践』へと飛躍する、未来に拓かれたバイオエシックス教育の大きな転換期にある、とコメントした。

丸山マサ美(九州大学大学院医学研究院)