史上初のWeb大会の成功をめざして
大会長 松田純(静岡大学)
かつてなく地球が狭くなったグローバリゼーションの時代に、未曾有のパンデミックが襲いかかっています。まず初めに、この危機に最前線で立ち向かっている医療・保健衛生関係の方々の献身的な活動に心から敬意を表します。
COVID-19の感染拡大防止のため、第32回日本生命倫理学会年次大会は Web 開催の形態をとります。史上初の試みです。このような異例の形態に変更するにあたって、会員の皆様ならびに学会理事会のご理解と全面的なご支援をいただくことができましたことに改めて感謝申し上げます。それに支えられて、大会実行委員会は初めての経験にとまどいながら、準備を進めてまいりました。
困難な状況にもかかわらず、会員の皆様から積極的な応募とご協力をいただき、一般演題 28件、シンポジウムとワークショップ16件をご用意することができました。一般演題の発表はWeb 上でデータを公開し、12月5日(土)~12月20日(日)の期間中いつでも、繰り返し視聴可能です。
シンポジウムとワークショップはZOOM によるライブ配信を行い、双方向の議論も可能です。
本学会はCOVID-19感染拡大を受け、COVID-19の倫理に関する情報を集約し、学会員、市民の皆様とともにCOVID-19の倫理について検討するため、「COVID-19の倫理タスクフォース」を立ち上げました。学会企画シンポジウム「パンデミックの生命倫理:COVID-19をめぐって」では、これまでの活動をふまえて、COVID-19パンデミックに対して生命倫理学として何ができるかを問うものです。ほかにもCOVID-19関連のシンポジウム等が複数開催されます。活発な議論が展開されますことを期待しています。
本大会のテーマは「価値観と文化の多様性にむきあう生命倫理学」です。これの趣旨説明は大会長講演のページでご確認ください。本来であれば、大会企画シンポジウム「ヨーロッパ生命倫理はどこへ向かうのかーフランス生命倫理法改正から考える」、「北欧のケアと生命倫理」で、このテーマに沿って、海外の研究者(フランス国家倫理諮問委員、ドイツや北欧の専門家など)も招聘し、グローバルな視点から討論する予定でしたが、大幅な渡航制限が続くなか断念せざるを得ませんでした。しかし、日頃から文化の多様性と生命倫理学との関係に注目してこられた研究者のご研究の蓄積の上に、大会テーマが深められますことを期待しております。
一つの空間を共有し議論するという対面形式には及ばないかもしれませんが、大会が終了した時点で、Web 大会ならではの「良さ」に気づき、思わぬ収穫があったと思えることをひそかに期待しています。皆様方の積極的なご参加をよろしくお願い申し上げます。
閉会のご挨拶
第32回日本生命倫理学会年次大会はオンデマンドの配信期間が2020年12月20日をもって終了し、全日程を終了いたしました。
本大会はCOVID-19パンデミックのまっただ中にWeb 形式で開催されました。Web開催は学会としても初めての試みとなりましたが、最終的な参加者は会員308名、非会員166名、市民公開企画213名、合計687名となりました。ご参加された皆様に実行委員会を代表し心から御礼申し上げます。
12月5日、6日に開催されたオンラインセミナーによるシンポジウムとワークショップでは、対面でないことによるもどかしさもありましたが、フロアからの発言や Q & A の活用により双方向の討論もできました。それらの内容は、後日掲載された録画動画で再現され、 Q & A の一覧表などでも示されました。
一般演題は音声付スライド動画を大会ホームページ上に掲載し、12月5日~12月20日オンデマンドで配信いたしました。一般演題に対してもホームページ上で質問や感想、それらに対する発表者の回答などがなされ、双方向の交流がある程度実現いたしました。
途中、システムダウンなどのトラブルに見舞われました。またいろいろ至らない点もあったかと思いますが、なんとか無事に終了いたしましたのも、ひとえに発表者ならびに参加者の皆様のご協力のお陰です。心から感謝申し上げます 。
依然として感染拡大が続いている状況で年越しを迎えますが、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。
2020年12月20日
第32回年次大会 大会長 松⽥ 純(静岡大学)