2020年12月5日(土) 15:20~18:10
ミーティングルームC(ZOOMライブ配信)

オーガナイザー
竹下啓(東海大学)
本家淳子(浜松医科大学

講師
本家淳子(浜松医科大学)
竹下啓(東海大学)
武市尚子(千葉大学)
金城隆展(琉球大学)

オーガナイザー報告

第32回日本生命倫理学会年次大会特別企画では、臨床倫理コンサルテーション(CEC)の実務に焦点をあて、講演(講義セッション)とラウンドテーブルディスカッション(RTDセッション)を行った。

講義セッション

竹下は、CECの立ち上げをボトムアップ型とトップダウン型、CECの運営モデルを委員会モデル、チームモデル、個人モデル、それらを事例によって使い分けるハイブリッドモデルに分類して紹介した。その上で、CECを担うメンバーの選定や教育のあり方、依頼方法、医師がCECのリーダーを担うことの利点と欠点について解説した。

本家は、倫理調整を使命の一つとしている専門看護師が横断型支援に長け、医療倫理の基礎知識を備えていることから、CECの設置と運営において重要な役割を担うことができると指摘した。CECの定着、医療・ケア提供者が倫理的課題に気づいてCECにアプローチできるように支援すること、CECの成果の可視化が今後の課題であると述べた。

武市は、法律相談と倫理支援は相補的なものであるした上で、法律家の役割は法的リスクの判断や法的枠組みの整理にあると整理した。さらに、医療・ケアの現場において、医学的に十分な評価、患者や家族の意向を偏りなく聴取すること、適切な記録が大切であると強調した。また、刑法が問題になる場合、法律家は消極的意見となる可能性が高いことを指摘した。

金城は、適切なCECを行う上で、CECのメンバーを適切に選定すること、ガイドラインや文献等を適切に参照すること、CECが医療・ケアチームと共に考え、悩み、共同決定する姿勢・態度を持つこと、CECの記録は文献やガイドライン等を適切かつ十分に参照し記述することがよりよいCECにつながると述べた。また、臨床倫理委員会に報告し、CECで提供された助言が、よりよい医療決断を促進したか否かの評価を受けることが大切であると論じた。

RTDセッション

事前に申し込みのあった参加者を約20名のグループに編成し、医療チーム(本家・竹下)、法律・倫理チーム(武市・金城)とそれぞれ30分間、zoomのブレイクアウトルームでRTDを行った。CECを行う、あるいは、行おうとする上で、日ごろ疑問に思っていること、困った経験、工夫などを講師と話し合った。

なお、RTDセッション参加者の内訳は、医師17名、看護師20名、事務職1名、倫理学者・哲学者等4名、介護福祉職4名であり、過半数が日本生命倫理学会の会員以外からの参加であった。

竹下啓(東海大学)