2021年11月27日(土) 13:50~15:20
ミーティングルームC(ZOOMライブ配信)

オーガナイザー
瀬戸山 晃一(京都府立医科大学医学研究科医学生命倫理学)

  • 項目反応理論を用いた研究倫理評価尺度の検討
      吉井 健悟(京都府立医科大学医学研究科生命基礎数理学)
  • 研究倫理に対する規範意識の評価におけるグレーディング(段階評価)の設定とオリジナリティ
      景山 千愛(京都府立医科大学医学研究科医学生命倫理学)
  • 医学研究における「隠れたカリキュラム」の可視化の試み
      四宮 康亮(京都府立医科大学医学研究科医学生命倫理学)

オーガナイザー報告

 本シンポジウムは、前年の大会シンポジウム後の研究の進捗を踏まえた第2弾の企画である。我々の研究チームでは、日本の研究文化や研究組織風土に即した研究者の不適切な意思決定に負の影響を与える組織環境を可視化する尺度の開発に取組んできた。開発中の評価尺度を一定の医療従事者に対して調査した結果の分析を通し明らかになった点や課題について報告し、当日ウェブアクセス者からの質問も踏まえて意見交換を行った。事後のオンデマンドも含めご視聴頂いた方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げたい。

まずオーガナイザーの瀬戸山会員から、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究公正高度化モデル開発支援事業「学際的アプローチによる研究倫理教育のモデル評価プログラムの開発と検証」(研究開発代表者:瀬戸山晃一(京都府立医大))での取組み概要と、企画趣旨について説明をおこなった。続いて以下の発表がなされた。

吉井会員報告では、2021年3月に実施したオンライン調査を対象に、参加者属性と、本プロジェクトで開発した尺度の各領域(情意領域、認知領域)、および各領域での解答時間を調査項目とした分析結果が説明された。また、点数の重み付けによる項目識別力の低下やオンライン調査実施の課題について述べられた。

景山(京都府立医大)報告では、日本の研究文化や研究室風土に即した尺度の開発にあたって、設問の配点方法について、既存尺度から参考にした点と、内部会議や査読委員からの意見を踏まえた、本尺度における改善点・独自の点について説明がなされた。

四宮(京都府立医大)報告では、オンライン調査の解答を分析した結果、「あなた自身」と「あなたの周り」について問う2種類の質問について得点差があることから、組織における非公式的な「隠れたカリキュラム」が解答に影響している可能性について検討がなされ、研究組織におけるロールモデルの男女差が示唆された。

質疑応答においては、質問への解答に男女差があるということだが、実際の研究不正でも男女差が報告されているのか、海外では研究倫理教育の制度が整った前と後で発生率の報告にかなり差があるが、本プロジェクトでも世代や調査年による比較などを行う予定があるか、「あなた」と「あなたの周り」を分けて問う質問文は具体的にどのようなものか、といった質問がなされた。最後の質問については、組織の平均的構成員・上司・後輩など、「あなたの周り」について何パターンか設定することが考えられるが、質問数が膨大になってしまうため、解答時間が長くなり普及が難しくなる懸念があることや解答が組織環境を正確に反映しているとは限らない点について応答がなされた。そしてオーガナイザーで研究開発代表者の瀬戸山会員より、これらの評価尺度の意義と有効性は、今後様々な組織で実施され普及していくことで、その結果のデータが蓄積されていき個々の結果や他組織での結果との比較検討が可能となることで生み出されるとの認識を共有した。

瀬戸山 晃一(京都府立医科大学医学研究科医学生命倫理学)