• 日時:2019年12月7日(土)16:10~17:40
  • 会場:東北大学川内キャンパス 文科系総合講義棟・第1小講義室(C会場)
  • オーガナイザー:
    堀井泰明(天使大学)
  •  報告者:
    • 門岡康弘(熊本大学)
    • 小西恵美子(鹿児島大学)
    • 田代志門(東北大学)
    • 徳永純(狭山神経内科病院)
    • 服部健司(群馬大学)

座長報告

今回はケースブリンガーとしてさいたま赤十字病院緩和ケア診療科部長の原敬氏にご自身の担当したケースを提供して頂き、ファシリテーターとして東北大学の田代志門氏、そして原氏の提供したケースを門岡康弘氏(熊本大学)、小西恵美子氏(鹿児島大学)、徳永純氏(狭山神経内科病院)、そして服部健司氏(群馬大学)の4名で検討した。

今回問題になったのは、緩和ケアの中で事実を本人に伝えるべきか否か、という問題であった。家族としては、本人のことを第一に考えて伝えないように医療者にお願いしているケースであっても、家族の意向に重きをおくべきなのか、いや、そうではなくてここはやはり患者本人の意向こそ大事にすべきなのではないか、という点が議論の中心となった。どのような治療を受けるのか、あるいは受けたくないのか、それは原則患者本人が決めることであろう。ただし、状況によっては本人だけでは決めることが難しいケースも当然あり得る。そういう場合に誰がどのように関わることがベストなのか、それを議論することとなった。

場合によっては看護師に介入してもらい、その中で患者本人と家族の意向を引き出すべきだという意見や、そうではなくて最期まで事実は隠したままで乗り切るべき、といった意見も出た。いずれにせよ、大事なのは家族と患者本人の意向に注意深く耳を傾け、その中から患者と家族の本音を引き出すことなのではないか、といった意見も出された。

終末期の医療ほど選択肢も多く、複雑なものはない。そうした個々の状況に応じた医療をどのように提供することが出来るかが、すでに多死社会を迎えている日本の課題であると言える。患者本人の意向に沿った最期の迎え方をどのようにサポートするのか、いま医療の現場が問われているのではないだろうか。