• 日時:2019年12月7日(土)13:50~15:50 
  • 会場:東北大学川内キャンパス 文科系総合講義棟・法学部第1講義室(A会場)
  • オーガナイザー:
    JAB International Collaboration Committee
    Keiichiro Yamamoto (University of Tokyo)
    Hitoshi Arima (Yokohama City University)
  • Exploring the ethics of participant payment in research
    Brandon Brown(University of California)
  • Deliberation time in “informal” decision-making on participating in clinical trials
    Haruka Nakada(National Cancer Center)
  • Future-proofing consent in the context of novel reproductive biotechnologies
    Evie Kendal(Deakin University)
  • A study of children born from reproductive technology who are the product of clinical trials and subject of observational studies
    Waki Toya(National Cancer Center)

座長報告

国際交流委員会は2018年度にAmerican Society for Bioethics and HumanitiesおよびThe International Association of Bioethics間でフェローシップ制度を確立し、本年度から両学会員を対象にして国際シンポジウムの発表者を募集する運びとなった。結果、前者からは29の申請、後者からは17の申請があり、その中からearly careerの発表者としてBrandon Brown(University of California, Riverside)氏とEvie Kendal(Deakin University)氏が選出された。  

Brown氏は、「臨床試験への参加に経済的インセンティブを認めることは非倫理的なのか」という問いを扱い、具体的なケースに基づきながら支払いに関する意思決定や審査のあり方等について発表を行った。他方、Kendal氏は、人工子宮などの体外発生技術に着目しつつ、生殖補助医療領域における新しい技術の導入とそのリスク、さらにはそうした技術の臨床応用の際のインフォームド・コンセントのあり方について発表を行った。

国際交流委員会は「学会員の国際交流を促す」という目的の下、会員からも英語で発表できる者を募った。結果として、Brown氏の発表に対応する形で中田はる佳会員が、Kendal氏には遠矢和希会員が発表を行う運びとなった。中田会員は、被験者/患者が臨床試験参加への意思決定を実際にどのように下しているのかという問いを置き、患者を対象に量的研究ならびに質的研究を行い、その調査結果を踏まえて発表を行った。遠矢会員は、「生殖に関わる技術の研究によって生まれる子は、介入研究の結果であり、観察研究の対象となるという特殊性を持ちうる」という点を指摘しつつ、生殖補助医療における新しい技術と被験者保護の問題を扱った。

当日はBrown氏とKendal氏が司会者となり、まずは中田会員や遠矢会員を交えて4人で質疑応答が行われ、続いてフロアの会員も交えて英語での活発な意見交換が行われた。本国際シンポジウムは本学会初の試みであったが、当日は約100人の会員に参加頂いたようである。本国際シンポジウムは今後、学会員が英語で発表し質問できる場として、また、海外の発表者との共同研究等に繋げることのできる場として発展できる可能性を秘めている。引き続き会員の皆様のご参加をお願いする次第である。