• 日時:2019年12月7日(土)14:55~16:00
  • 会場:東北大学川内キャンパス 文科系総合講義棟・第2小講義室(D会場)
  • 14:55~15:15
    他者による「治療化」の圧力について考える
    藤井可(佐賀大学/熊本市役所)
  • 15:15~15:35
    薬物によるニューロエンハンスメント
    -精神科医の立場から-
    三笠雅也(京都大学)
  • 15:35~15:55
    生活習慣病政策の論理と倫理
    -ハイリスク戦略からポピュレーション戦略へ-
    村岡潔(佛教大学)
  • 15:55~16:00
    座長総括・時間調整

座長報告

藤井可氏の「他者による「治療化」の圧力について考える」の発表では、個人が自らの疾患に関して予防ではなく疾患発症後の治療の方に重きを置く傾向性を「治療化」と呼び、さらに「治療化(広義)」として、傷病者や脆弱性を抱える人に対して、社会や第三者が「よかれと思って」治療を迫るパターナリスティックな態度や枠組みについての倫理的妥当性が検討された。そして予防的配慮を軽視し発症後の介入に力を入れるという最近の傾向の問題点が指摘された。

村岡潔氏の「生活習慣病政策の論理と倫理―ハイリスク戦略からポピュレーション戦略へ」の発表では、いわゆる「生活習慣病」の論理が検討され、その予防医学としての倫理的問題について論じられた。現在では疾患発症の一次予防が重視され未病状態に積極的な介入が行われる。国家がハイリスク戦略からポピュレーション戦略に転換したことをきっかけに、健康者までもが薬物療法が行われる危険があること、現実の高血圧患者に対する降圧治療の倫理的問題と功罪が述べられた。