• 日時:2019年12月8日(日)15:40~17:10
  • 会場:東北大学川内キャンパス 文科系総合総合講義棟・第2小講義室(D会場)
  • 座長:長尾式子(北里大学)
  • 15:40~16:00
    患者の尊厳に着目した倫理コンサルテーションモデルの検討
    堂囿俊彦(静岡大学)
  • 16:00~16:20
    臨床倫理コンサルテーション事例のまとめと今後の課題

    • 金田浩由紀(関西医科大学総合医療センター)
    • 佐藤幸代(関西医科大学総合医療センター)
    • 吉井弘子(関西医科大学総合医療センター)
    • 大上千賀(関西医科大学総合医療センター)
    • 渡部樹子(関西医科大学総合医療センター)
    • 武ユカリ(関西医科大学)
  • 16:20~16:25
    時間調整
  • 16:25~16:45
    インフォームド・コンセントにおける家族の位置付けと自己決定権
    秋葉峻介(山梨大学/立命館大学)
  • 16:45~17:05
    オランダ臨床倫理学の動向とその駆動力
    服部健司(群馬大学)
  • 17:05~17:10
    座長総括・時間調整

座長報告

臨床倫理をテーマに、倫理支援の手法に関する2演題、院内の倫理支援活動の報告、インフォームド・コンセントに関する演題の合計4演題が報告された。まず、倫理的問題の検討方法が提案された2演題では、堂囿俊彦氏(静岡大学)が患者の尊厳に着目した手法と、服部健司氏(群馬大学)がオランダの多様なMoral Case Deliberation(MCD)の手法について紹介された。昨今、日本においては臨床倫理コンサルテーション(Clinical Ethics Consultation: CEC)という医療現場での第三者からの倫理支援が注目されており、その支援の手法に関する示唆となる内容であったと言える。堂囿氏の患者の尊厳に着目した手法は、CECが行う分析方法の一手法となる提案であった。この手法をCECの実践にどのように活用するのかに関する質問があった。一方、服部氏が紹介したオランダMCDは、CECの実践とは異なる仕組みと分析手法であることが強調された。例えば、CECは現場から客観的な議論の機会であるのに対し、MCDは現場からあえて離れない議論の機会である。倫理的問題への立ち位置の違いを感じるテーマであった。

また、金田浩由紀氏(関西医科大学)からは、病院の臨床倫理・合意形成支援センターで行われている臨床倫理コンサルテーションの約3年間の活動が報告された。依頼者の職種は医師が最も多く、その他、依頼された事例の疾患は悪性腫瘍、主な倫理的問題は検査・治療の適応、治療の差し控えと中止、インフォームド・コンセントのあり方が多かったとの報告であった。報告後の質疑では、依頼から発動までの時間や対応方法などに関する質問があった。今後、CECの活動の評価指標は課題といえる。

また、秋葉峻介氏(山梨大学)は「インフォームド・コンセント(IC)における家族の位置づけと自己決定権」と題して、患者を主体とするICの原則が自律尊重原則にプラス患者の最善の観点で共同決定されていることに内在する問題が提起なされた。本来、患者の利益の問題が、本人、家族、医療従事者の三者関係になった場合、患者の利益が家族の生活の利益や家族にとっての患者の生死の価値問題といった二重の置き換えが生じているとの私的であった。全4演題に対して、様々な質疑応答が活発に行うことができたといえる。