作成 旗手 俊彦(札幌医科大学)
倫理委員会あるいは倫理審査委員会は、今や大学等の非常に多くの研究機関や医療機関に設置されています。本部会は、それらカテゴリーの異なる設置主体により運営されている倫理委員会の間で情報交換、情報共有を行う枠組みが必要との認識のもとに結成され、約1年間活動をしました。具体的な活動内容としては、特に医療施設に設置されている倫理員会に対してアンケート調査を行うとともに、部会員も異なるカテゴリーの大学に所属していることから、部会員相互間でも意見交換を行いました。その結果、多くの倫理委員会では、判断が困難なケ―スに直面しても、意見・情報交換や意見交換する機会がほとんどなく、やや孤立している現状が明らかとなりました。このような部会活動の成果発表として、日本生命倫理学会第32回年次大会で、公募シンポジウムで「医療系倫理委員会の現在(いま)」と題したシンポジウムを開催しました。シンポジウムでは、これまでの部会活動では話題に登らなかったハンズオンセミナ―や教育に関する倫理審査のあり方にも議論が及ぶなど、改めて、倫理委員会がカバーするべき領域が広いことの現状認識を共有することができました。
このように倫理委員会が果たすべき役割が多様化する今日、その役割を果たすためには、倫理委員会のネットワ―ク化や倫理審査の集約化により、倫理審査の質の保証を図ってゆくことが喫緊の課題であるとの結論に至りました。部会活動は一旦終了しますが、この課題に向けて、部会員として今後も連絡を保ちながら、年次大会等でセッションを重ねて行きたいと思っています。