基礎理論部会は自由な考察や議論を通して生命倫理をめぐる基本的な問題や考え方をさまざまな角度から検討していく場を提供することを目標に散発的ではありますが、活動を継続してきました。しかし、2020年度はパンデミックによる影響に個別に対処することに追われたこともあって、活動は休止状態となっていました。お問い合わせもいただいたのですが、幹事の怠慢で対応できなかったことをお詫びします。本年度は幹事をはじめ、陣容を一新し、活動を再開することを予定しています。まず取り上げるテーマとしては、まだ先の見通せない新型コロナウイルス感染症をめぐる問題を考えています。従来、特に日本の生命倫理における議論では感染症をめぐる問題はあまり大きく取り上げられずにきたと思われます。細菌性の感染症を(ある程度)コントロールできるようになって浮上してきたとされる諸問題を考えることが、生命倫理のもっぱらの課題とされてきました。しかし、現在の世界の状況を見ると、従来の生命倫理における課題設定は短見にすぎないと言わざるを得ません。そうした問題意識もあって、本部会はパンデミックによる問題を取り上げることから、活動を再開したいと考えています。現在、関連するシンポジウムの開催の可能性を具体的に検討し始めています。ウエブ開催となると思われますが、シンポジウムについては新たな幹事から会員の皆様の告知させていただくことになると思います。皆様にも積極的に参加いただける活動にしていこうと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
(香川知晶)