倫理コンサルテーションハンドブック第2版
●治療・ケアの不開始・中止に代表される医療現場で生じるさまざまな倫理的な問題を,第三者の立場から対話を通じて解決する「倫理コンサルテーション」.
●院内で倫理コンサルテーションをどのように導入・実施して改善していけばよいかを,現場の医師・看護師と医療問題に関わる法律家・倫理学者のコラボにより,具体的に分かりやすく解説.
●治療・ケアの不開始・中止に代表される医療現場で生じるさまざまな倫理的な問題を,第三者の立場から対話を通じて解決する「倫理コンサルテーション」.
●院内で倫理コンサルテーションをどのように導入・実施して改善していけばよいかを,現場の医師・看護師と医療問題に関わる法律家・倫理学者のコラボにより,具体的に分かりやすく解説.
今日、日本の各地や関連学会で臨床倫理のセミナーが開催されるなど、臨床倫理についての関心は高まっていると考えられます。そうはいっても、医療の現場で起きる典型的な倫理的問題について、医療者が判断を迫られるとき、どのように問題を整理し、適切な形で行動をしたらいいのかはわかりづらいものです。本書では理論的な解説と具体的な事例を掲載し、臨床倫理学の実践的な入門書として最適な内容にしました。
本書は、〈延命〉を否定的に扱う前提のもとで生じてきた規範や諸制度の展開を分析し、医療が担う新たな機能の倫理的問題を明らかにしたものです。生命倫理学の議論では、〈延命〉の対義語とも言うべき安楽死についての歴史的記述はよくみられるのに対し、〈延命〉 について、それが本質的に何を意味するのかはほとんど注目されてこなかったといえます。 つまり、〈延命〉は、少なくとも生命倫理学の勃興以降では、常に安楽死の対義語としてのみ登場する概念であったといえるのではないでしょうか。その意味で本書の第一部は、〈延命〉とは何であるとされているかについて、語義、歴史、思想、制度等の面から先行研究を 精査し再構成した萌芽的研究といえると思います。
本書は、著者の47年間の弁護士活動(臨床法務、政策、運動、研究、教育)の中で経験してきた民事訴訟(数多くの医療事故訴訟、薬害エイズ訴訟、ハンセン病訴訟、薬害肝炎訴訟)を素材に、執筆した書籍です。
著者の肩書きは、弁護士(医療問題弁護団顧問、東京HIV訴訟弁護団事務局長、薬害肝炎全国弁護団代表)の他に、患者の権利法をつくる会常任世話人、明治大学名誉教授、日本医事法学会監事、日本生命倫理学会名誉会員等があります。
本書は、今までバイオエシックスの分野ではドラマチックな倫理が焦点となり、あまり注目されてこなかった日常倫理(everyday ethics)という視点から、認知症ケアの現場で起きている課題を捉えなおすことを目的としています。認知症当事者のさまざまな生活・療養の場における看護職らのリアルな実践事例と、当事者・家族介護者らの生の語りを収載し、日常倫理に関する着眼点や思考のプロセスを言語化し、新しいケアのアプローチを考える糸口になれば幸いです。
安楽死法や自死支援を法律で許容する国はなぜ増えているのか?――本書は、導入されている国々の安楽死法を基礎づけている「人間の権利」や、さらにはその権利の根底にある道徳原則について、各国事例の詳細な分析から安楽死の法・原理の鳥瞰図を具体的に描き出し、我国にとって、安楽死法はどうあるべきかを議論する上で有益と思われる情報を提供する。
本書は、Carol Gilligan, Joining the Resistance, Polity Press, 2011の全訳です。
本書の著者キャロル・ギリガンの主著In a Different Voice: Psychological Theory and Women’s Development , Harvard University Press, 1982(川本隆史、山辺恵理子、米典子訳『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』風行社、2023年)においてケアの倫理が提唱されて以降、ケアの倫理には、多くの賛同者が現れると同時に、伝統的な女性差別を促進させるという批判の声も投げかけられました。本書においてギリガンは、それらの批判に応答しています。
書いた本人が言うのも何だが、これは相当に奇妙な本である。だいたいタイトルが長いうえに、「×」とか入っていて意味がよく分からない。出版前はいったいどういう反応が来るのかまるで読めず、誰にも届かない「世紀の奇書」になったらどうしよう、という不安にかられることもあった。幸い出版から2か月ほどたち、それは杞憂に終わり、それどころか生まれて初めてSNSで書店員さんの「これ売れてます」的な反応を目にして、安堵するやら驚くやらの日々である。
本書の目的は、保健・医療・福祉の専門職が臨床の現場において支援の対象となる人々といかに向き合えばよいかという専門職としての職業規範について解説することにあります。この目的を果たすために、本書では2つのことについてアプローチを試みました。
本書は、生命倫理と呼ばれる問題群から以下に挙げる六つのテーマを取り上げる。これらの歴史的背景、問題状況、そこに含まれる倫理的及び法的問題、そして将来的課題等、多元的な視点から問題を扱い、著者なりに解答を提示しようと試みている。その際、現代リベラリズムとは一線を画し、「いのちの現場に寄り添う」ことに立脚する。
本書は、在宅医療・ケアの現場において尊厳が問題となる16のケースを取り上げ、それらの問題を見える化し、検討する上で必要な考え方を分かりやすく提示しています。さらに、こうした問題について話し合うための方法も解説しています。みなさんがよりよい解決策を見つける上で本書をお役立ていただければ幸いです。
本書は、日本学術会議哲学委員会主催の公開シンポジウム「コロナ禍における人間の尊厳―危機に向き合って―」(2021年12月)を基に編まれた論集である。執筆には多くの本学会会員も参加し、「人間の尊厳」概念を軸にコロナ・トリアージとパンデミックで浮上した諸問題を多角的に検討している。
本書は、ACPに「START(Support, Timing, Action, Relation, Talking)」と「エフェクチュエーション」という新しい視点を取り入れたACPの実践ガイドです。
本書の読みどころは、ACPをSTARTという視点でマッピングし、ACPをいつ・誰が・どこで・何を・どんなふうに行うのか、さまざまな側面から解説しています。
本書の出発点は、私が看護師としての臨床経験を通して抱いた、以下の疑問にあります。—「脳の機能を不可逆的に喪失した者」とは重度の脳機能障害患者にほかならない。なぜ、その患者が死者とされるのだろうか。―本書は、この問いへの答えを求めて執筆した博士学位論文を基に、加筆修正したものです。
本書は、私の終末期医療と事前指示・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)関連の博士学位論文をベースに、コロナ禍に突入した2年間の協力研究者との活動報告および今後の課題をまとめた内容です。以下、協力研究者の秋葉峻介氏の書評と25年来の恩師の加藤尚武氏の書評(感想)に応える形で本書を紹介したいと思います。
本書では実際に各所属機関等で研究倫理コンサルタントとしての役割を担う研究者ら(この中には医師や看護師から法学や倫理学の研究者までさまざまな専門分野の者が含まれている)が集まり、架空の研究倫理の相談事例(もちろん、その中には現実の問題に端を発するものも含まれる)をもとに、そのような相談を受けた場合に注目すべきポイントや参照すべき法・指針・宣言等をピックアップしながら、最終的に自分(たち)であればどのような助言をするだろうかというところまで議論を展開している。
これまで代理出産における当事者のうち、代理母や卵子ドナーの経験が語られることは、殆どありませんでした。一般的にこれらの当事者たちは、契約により事実を公にすることを禁じられているためです。
本書は代理母や卵子ドナーとなることで心や体に被害を被った方々が、自分と同じような苦しみを負う女性を増やさないよう、勇気を振り絞ってあげた声から成る証言集です。
本書は、障害のある人に妊娠、出生前検査、親や子どもについて尋ねたインタビュー調査にもとづいています。私がお話を伺った方々が、自分の身体にかかわる経験をどのように語ったか、それらの経験の幼少期の記憶はどのようなものか、出生前検査の存在を知った時にイメージした「胎児」とはどのようなものかなどを検討することを通して、出生前検査の文脈で診断される「障害」を〈名としての障害〉、生きている人の経験が織り込まれた「障害」を〈生きられた障害〉と名づけ、それぞれが用いられる文脈ごとに複数のはたらきをもつことを明らかにしています。
本書のコンセプトは、これまで「正常人」たちの言葉や思考を押しつけられていた「狂人」たちが、正常人の社会から奪った「理論」という武器を手にすることで、みずからの言葉と思考をもって「狂気」の側から反撃するというものです。
ACPの歴史的背景から理論・実践事例まで網羅している。第1章は、患者の自律の権利確立の動きに焦点を当て、エンドオブライフケアにおける臨床倫理の役割と、その歴史的発展の軌跡をたどる。第2章は、エンドオブライフケアの倫理的問題に対処するアプローチとして、「ACP」と「倫理コンサルテーション」の基礎と実践について。第3章は、悪性腫瘍や慢性疾患、認知症のケースを通じて、エンドオブライフケアの倫理的問題解決の基本的考え方を知ることができるように構成されている。