生殖補助医療のこれから――社会の合意に至るために考えること
日本学術会議「生殖補助医療分科会」〔2023年8月)のシンポジウムを契機として、2025年3月に書籍が出版されました。各分野から生殖補助医療の課題について、法制化も含め、検討しています。
生/死をめぐる意思決定の倫理――自己への配慮、あるいは自己に向けた自己の作品化のために
本書は、「人生の最終段階」における医療・ケアに関する理論的枠組みを検討することを通じて、〈生/死をめぐる意思決定の倫理〉を批判的に再構成することを目的として書かれた博士論文(立命館大学・先端学術総合研究科)を書籍化したものです。
ライフサイエンスをめぐる倫理的・法的・社会的課題:医療と科学の進歩は幸福をもたらすか
新型コロナなどの感染症対策、再生医療や異種移植、生殖補助医療、老化研究など、命や健康に関わる課題を克服するため、ライフサイエンスは日々進展しています。それは未来への希望をもたらすとともに、未知の問題を生じさせます。私たちはそれをどのように受け止めればよいのでしょうか。また、どうすれば私たちの幸福に結びつけることができるのでしょうか。長年、国のライフサイエンス政策の中枢に携わり、研究の推進とルール作りを行ってきた著者が、これまでの議論を整理し、課題への取り組み方を示します。
概説 生命倫理学
本書は、一般教養科目として生命倫理を学ぶ学生から医学・医療・看護専門職を目指して学ぶ学生にも対応し、類書では取り上げられていない、ミトコンドリア置換や子宮移植など最先端の問題や最新の動向も扱った新しい時代の生命倫理学のテキストである。
倫理コンサルテーションハンドブック第2版
●治療・ケアの不開始・中止に代表される医療現場で生じるさまざまな倫理的な問題を,第三者の立場から対話を通じて解決する「倫理コンサルテーション」.
●院内で倫理コンサルテーションをどのように導入・実施して改善していけばよいかを,現場の医師・看護師と医療問題に関わる法律家・倫理学者のコラボにより,具体的に分かりやすく解説.
京大式 臨床倫理のトリセツ
今日、日本の各地や関連学会で臨床倫理のセミナーが開催されるなど、臨床倫理についての関心は高まっていると考えられます。そうはいっても、医療の現場で起きる典型的な倫理的問題について、医療者が判断を迫られるとき、どのように問題を整理し、適切な形で行動をしたらいいのかはわかりづらいものです。本書では理論的な解説と具体的な事例を掲載し、臨床倫理学の実践的な入門書として最適な内容にしました。
〈延命〉の倫理―医療と看護における
本書は、〈延命〉を否定的に扱う前提のもとで生じてきた規範や諸制度の展開を分析し、医療が担う新たな機能の倫理的問題を明らかにしたものです。生命倫理学の議論では、〈延命〉の対義語とも言うべき安楽死についての歴史的記述はよくみられるのに対し、〈延命〉 について、それが本質的に何を意味するのかはほとんど注目されてこなかったといえます。 つまり、〈延命〉は、少なくとも生命倫理学の勃興以降では、常に安楽死の対義語としてのみ登場する概念であったといえるのではないでしょうか。その意味で本書の第一部は、〈延命〉とは何であるとされているかについて、語義、歴史、思想、制度等の面から先行研究を 精査し再構成した萌芽的研究といえると思います。
損害賠償訴訟と弁護士の使命~医事関係訴訟を素材に
本書は、著者の47年間の弁護士活動(臨床法務、政策、運動、研究、教育)の中で経験してきた民事訴訟(数多くの医療事故訴訟、薬害エイズ訴訟、ハンセン病訴訟、薬害肝炎訴訟)を素材に、執筆した書籍です。
著者の肩書きは、弁護士(医療問題弁護団顧問、東京HIV訴訟弁護団事務局長、薬害肝炎全国弁護団代表)の他に、患者の権利法をつくる会常任世話人、明治大学名誉教授、日本医事法学会監事、日本生命倫理学会名誉会員等があります。
認知症ケアと日常倫理:実践事例と当事者の声に学ぶ
本書は、今までバイオエシックスの分野ではドラマチックな倫理が焦点となり、あまり注目されてこなかった日常倫理(everyday ethics)という視点から、認知症ケアの現場で起きている課題を捉えなおすことを目的としています。認知症当事者のさまざまな生活・療養の場における看護職らのリアルな実践事例と、当事者・家族介護者らの生の語りを収載し、日常倫理に関する着眼点や思考のプロセスを言語化し、新しいケアのアプローチを考える糸口になれば幸いです。
安楽死を考えるために 思いやりモデルとリベラルモデルの各国比較
安楽死法や自死支援を法律で許容する国はなぜ増えているのか?――本書は、導入されている国々の安楽死法を基礎づけている「人間の権利」や、さらにはその権利の根底にある道徳原則について、各国事例の詳細な分析から安楽死の法・原理の鳥瞰図を具体的に描き出し、我国にとって、安楽死法はどうあるべきかを議論する上で有益と思われる情報を提供する。
抵抗への参加 フェミニストのケアの倫理
本書は、Carol Gilligan, Joining the Resistance, Polity Press, 2011の全訳です。
本書の著者キャロル・ギリガンの主著In a Different Voice: Psychological Theory and Women’s Development , Harvard University Press, 1982(川本隆史、山辺恵理子、米典子訳『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』風行社、2023年)においてケアの倫理が提唱されて以降、ケアの倫理には、多くの賛同者が現れると同時に、伝統的な女性差別を促進させるという批判の声も投げかけられました。本書においてギリガンは、それらの批判に応答しています。
臨床現場のもやもやを解きほぐす 緩和ケア×生命倫理×社会学
書いた本人が言うのも何だが、これは相当に奇妙な本である。だいたいタイトルが長いうえに、「×」とか入っていて意味がよく分からない。出版前はいったいどういう反応が来るのかまるで読めず、誰にも届かない「世紀の奇書」になったらどうしよう、という不安にかられることもあった。幸い出版から2か月ほどたち、それは杞憂に終わり、それどころか生まれて初めてSNSで書店員さんの「これ売れてます」的な反応を目にして、安堵するやら驚くやらの日々である。
保健・医療・介護・福祉系専門職の職業倫理を学ぶ人のために 職業倫理を考える
本書の目的は、保健・医療・福祉の専門職が臨床の現場において支援の対象となる人々といかに向き合えばよいかという専門職としての職業規範について解説することにあります。この目的を果たすために、本書では2つのことについてアプローチを試みました。
いのちの法と倫理【新版】
本書は、生命倫理と呼ばれる問題群から以下に挙げる六つのテーマを取り上げる。これらの歴史的背景、問題状況、そこに含まれる倫理的及び法的問題、そして将来的課題等、多元的な視点から問題を扱い、著者なりに解答を提示しようと試みている。その際、現代リベラリズムとは一線を画し、「いのちの現場に寄り添う」ことに立脚する。
在宅ケアの悩みごと解決マップ ケースで現場の問題「見える化」します
本書は、在宅医療・ケアの現場において尊厳が問題となる16のケースを取り上げ、それらの問題を見える化し、検討する上で必要な考え方を分かりやすく提示しています。さらに、こうした問題について話し合うための方法も解説しています。みなさんがよりよい解決策を見つける上で本書をお役立ていただければ幸いです。
「人間の尊厳」とは―コロナ危機を経て―
本書は、日本学術会議哲学委員会主催の公開シンポジウム「コロナ禍における人間の尊厳―危機に向き合って―」(2021年12月)を基に編まれた論集である。執筆には多くの本学会会員も参加し、「人間の尊厳」概念を軸にコロナ・トリアージとパンデミックで浮上した諸問題を多角的に検討している。
ここからスタート アドバンス・ケア・プランニング – ACPがみえてくる新しいアプローチと実践例
本書は、ACPに「START(Support, Timing, Action, Relation, Talking)」と「エフェクチュエーション」という新しい視点を取り入れたACPの実践ガイドです。
本書の読みどころは、ACPをSTARTという視点でマッピングし、ACPをいつ・誰が・どこで・何を・どんなふうに行うのか、さまざまな側面から解説しています。
死の定義と〈有機的統合性〉—IntegrityとIntegrationの歴史的変遷—
本書の出発点は、私が看護師としての臨床経験を通して抱いた、以下の疑問にあります。—「脳の機能を不可逆的に喪失した者」とは重度の脳機能障害患者にほかならない。なぜ、その患者が死者とされるのだろうか。―本書は、この問いへの答えを求めて執筆した博士学位論文を基に、加筆修正したものです。
終末期の意思決定 コロナ禍の人生会議に向けて
本書は、私の終末期医療と事前指示・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)関連の博士学位論文をベースに、コロナ禍に突入した2年間の協力研究者との活動報告および今後の課題をまとめた内容です。以下、協力研究者の秋葉峻介氏の書評と25年来の恩師の加藤尚武氏の書評(感想)に応える形で本書を紹介したいと思います。