本書は、著者の47年間の弁護士活動(臨床法務、政策、運動、研究、教育)の中で経験してきた民事訴訟(数多くの医療事故訴訟、薬害エイズ訴訟、ハンセン病訴訟、薬害肝炎訴訟)を素材に、執筆した書籍です。
著者の肩書きは、弁護士(医療問題弁護団顧問、東京HIV訴訟弁護団事務局長、薬害肝炎全国弁護団代表)の他に、患者の権利法をつくる会常任世話人、明治大学名誉教授、日本医事法学会監事、日本生命倫理学会名誉会員等があります。
【内 容】
第1章では「弁護士の使命と活動における考え方」を総論的にまとめられています。
第2章と第3章は医療と人権活動、とりわけ医療事故訴訟及び薬害訴訟を前提とした損害賠償訴訟についての解説です。
医療と人権課題は、医療制度の中での人権侵害、とりわけ生命・健康侵害について、損害賠償訴訟を活用して、人権侵害の原因を分析し、被害の回復・救済及び再発防止を実現しようとしています。
第2章の「展開的損害賠償責任要件論」は、上記の目的達成のために損害賠償請求権がより成立しやすい構成を考えたもので、従来の司法慣例とは多少異なった構成をしています。
第3章の「戦略的民事訴訟手続論」は損害賠償請求権を民事訴訟手続の中で、より迅速かつ充実した審理によって実現するために、新民事訴訟法施行前からの実践を、新民事訴訟法の計画審理に合わせて「戦略的」に分析しています。
第4章の「実践的人権運動論」は主に損害賠償訴訟を手段として、医療分野における人権課題について目的(被害回復・救済及び再発防止)を実現するために行ってきた具体的人権運動の経験を紹介したものです。
本書は、著者のこれまでの活動を分析して、これからの様々な人権活動を担っていく若手弁護士の方々の参考になればと、述べています。
出版社URL「損害賠償法と弁護士の使命」
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9167.html
【目 次】
はじめに
第1章 弁護士の使命と活動における考え方
Ⅰ 弁護士の使命
Ⅱ 活動における考え方
第2章 展開的損害賠償責任要件論
Ⅰ 総論
Ⅱ 因果関係論
Ⅲ 注意義務違反論
Ⅳ 損害論
Ⅴ 消滅時効・除斥期間
第3章 戦略的民事訴訟手続論
Ⅰ 総論
Ⅱ 計画審理
Ⅲ 争点・証拠の整理手続
Ⅳ 集中証拠調
Ⅴ 鑑定
Ⅵ 和解、判決、上訴
Ⅶ まとめ
第4章 実践的人権運動論
Ⅰ 医療分野における主な課題
Ⅱ これまでの活動経験(概要)
Ⅲ 実践的運動論
鈴木 利廣(すずかけ法律事務所)