会員の山本圭一郎、堂囿俊彦、竹下啓、高島響子ら共編著による『対話から学ぶ臨床倫理コンサルテーション―医療の現場で答えが出ない「もやもや」に出会ったら』が上梓されました。実際の症例から着想を得た10件の典型的な仮想ケースを提示し、臨床倫理コンサルテーションが現場でどのようになされていったのかを臨場感をもって紹介しています。各ケースは臨床倫理コンサルテーションチームのメンバーと、相談者である担当医師・看護師との会話から始まります。各ケースの後半では,ポイントとなるテーマや用語について解説が掲載されています。臨床での「もやもや」に悩む医療者を支援する1冊。
目次
推薦の序
第1章 臨床倫理コンサルテーションについて
当院における臨床倫理相談サービス(臨床倫理コンサルテーション)
当院における臨床倫理コンサルテーションの方法
ケースの構成
第2章 臨床倫理コンサルテーションの実際
ケース1 退院できる状態ではない患者の強い希望に寄り添えるか
ケース2 意思を表明できない患者の過去のリビングウィルをどう扱うか
ケース3 家族には病名を知らせないで,と言われたけれど……救命に関わる事態でどうする!?
ケース4 DNARを希望する理由がみえにくい時,どうするか──両親による虐待の可能性
ケース5 抑制をめぐり職種間で意見が分かれてしまったら!?
ケース6 家族は意思疎通困難な患者への積極的治療を望むが,リスクが大きくて……
ケース7 患者の状態を悪化させ,医療者にも危険性がある家族とどう向き合うか
ケース8 感染症などによる医療逼迫の可能性がある中,治療を拒否する患者にどう対応するか
ケース9 異文化を背景にもつ,安楽死希望の患者にどう向き合うか
ケース10 身寄りはなく意思表示もできない患者の人工透析の中止の判断はできるのか
あとがき
索引
BOX
- 自己決定権と本人の(最善)利益の関係
- パターナリズム
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(プロセスガイドライン)
- DNAR
- 福利と健康関連QOL
- 推定的同意,黙示の同意
- 虐待と法的脳死判定
- 遷延性意識障害と最小意識状態
- モラル・ディストレス
- 院内指針の意義
- 「意思決定支援」のガイドライン
- キーパーソンをめぐる問題
- いわゆる「ごみ屋敷」で過ごす人への支援
- ソーシャルワーカーの考える連携・協働のポイント
- 医療資源の配分:3つのレベル
- 安楽死
- Shared Decision Making(SDM)
- 日本におけるACPの多様な解釈
- 日本透析医学会「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」(2020)について
- 身寄りのない人への支援──まずは現在を過去から読み解く
- 終末期
出版社による紹介ページ:https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/111576
情報提供: 高島響子(国立健康危機管理研究機構)