本書『医療✕エフェクチュエーション:予測不可能な時代の医療・ケアを変える新しい思考法』(メヂカルフレンド社)は、経営学で注目されている意思決定理論「エフェクチュエーション(Effectuation)」を、医療・ケアの現場に応用した日本初の実践書です。エフェクチュエーションは、起業家が不確実な状況の中で未来を切り拓くために生まれた思考法で、「今あるものから始める」「関係性を活かす」「予測よりも行動を重視する」といった特徴を持ちます。

この考え方は、正解がひとつではなく、先が読めない医療・介護の現場でも大きな力を発揮します。本書では、医療・ケア従事者、研究者、患者家族など多様な執筆陣が、現場での経験や実践をもとに、5つの基本原則を医療やケアの具体的な文脈に即してわかりやすく解説しています。命や人生に重大な影響を与え、判断に迷いや揺らぎが伴うテーマに対して、多くの実例を通して考えるヒントを提供しています。

また本書は、医療職に限らず、患者や家族として医療と関わるすべての人に向けた「生き方のヒント」としての側面も持ちます。誰もがいつか、医療・ケアを受ける立場や、支える立場になる中で、自分にとって大切なことを見失わずに選択していく力や、他者と対話しながら納得解をつくるための視点を提供しています。

医療や介護に限らず、教育・地域活動・キャリア形成・家族関係など、あらゆる場面で応用可能な「不確実な時代を生き抜くための思考法」として、一般の方々にも広く手に取っていただきたい一冊です。

情報提供: 角田ますみ(杏林大学)