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  • K01. 臨床研究における性別/ジェンダーの考慮に関する欧米の対応─covid‐19ワクチンの事例を契機に
      遠矢和希(国立がん研究センターがん対策研究所)

演者報告

臨床研究における性別/ジェンダーの考慮に関する欧米の対応─covid‐19ワクチンの事例を契機に
遠矢和希(国立がん研究センターがん対策研究所)

 2021年5月、英国のYellow Card Reportingにおいてcovid-19ワクチン接種後の月経の変調に関するデータが想定外に集まったことが報道され、各国で月経とワクチン接種やCOVID-19の関係に関する研究が盛んに行われ始めた。2021年8月には米国NIHがCOVID-19ワクチン接種と月経周期等の関連性を調査する研究資金提供を決定した。2022年10月に欧州医薬品庁がmRNA型COVID-19ワクチンの頻度不明の副作用として、重い月経出血を製品情報に追加するよう勧告したことが、現在の所の一定の結論である。そもそもcovid-19とワクチンに関する臨床研究を性別/ジェンダーの観点でレビューした各論文によると、データを性別で解析・報告する研究が少ないことが問題点として挙げられている。報告されたデータでは有害事象の発生率は女性において高い。

 このように、臨床研究が(女性にとって)適正に行われていないケースがあるため、不安・用心がワクチンへの意識に影響し、QOLや公衆衛生の問題につながっている可能性がある。

 欧米の研究助成機関等では臨床研究対象者の両性のバランスをとることや、性別/ジェンダーに基づく有意義な分析を求めている。各支援機関が公開している研究者向けの教育資材などを紹介し、性別/ジェンダーを考慮した臨床研究を推進するのに必要な方策を検討した。