2022年11月20日(日) 9:30~11:00
Zoom2 オンライン(ライブ配信)

オーガナイザー

宇田川誠(東京大学)
坪井龍太(大正大学)

報告者

横田惠理子 (慶應義塾大学)
貞岡美伸 (京都光華女子大学)
中田亜希子 (東邦大学)
宇田川誠(東京大学 )

キーワード

生命倫理教育、グループワーク、看護、オンライン授業、高大接続

報告

 「生命倫理」の授業は多くの大学で広く開講されている。しかし、ほとんどの場合、授業は担当者に全面的に任されており、担当者個人の授業観に基づいて設計され、実際の授業も(担当者と受講者・履修者のみの)いわば「密室」にて実施されているのが現状である。このような閉鎖的状況においては、授業担当者が授業についての悩みを一人で抱えてしまうことが多くなるであろうし、優れた授業実践の知恵があったとしても埋没してしまうことにもなるだろう。そこで、我々、本学会授業法研究部会のメンバーは、参加者相互の経験を共有しながら授業法について議論し検討していくことを目的に、本セッションを企画した。

 当日の報告は次のように進められた。オーガナイザーの坪井による趣旨説明の後、まず宇田川が哲学対話の手法の一つ「サイレント・ダイアログ」を用いた授業実践について報告し、生命倫理の授業に欠かせない「議論する姿勢」を養う工夫について、高校・大学での授業経験を踏まえて紹介した。続いて第2報告者の貞岡は、看護学科の初年次教育科目「看護倫理学」において学びを成果へと結びつける事例とはどのようなものかを検討し、導入時に配置する事例について、実践を通して得た示唆を報告した。次に第3報告者の横田はwebアンケートや学生相互での質問票を活用したグループワークの実践例を紹介し、人的資源に限りある中で、学生に意見表出をさせ有益なグループディスカッションを導く方策について提案した。最後に第4報告者の中田は、医学生対象の研究倫理をテーマにした模擬患者参加型のシミュレーション(ロールプレイ)演習について報告し、Zoomを用いた遠隔授業の準備や研究倫理の知識を実践につなげるための工夫を紹介した。

 報告に続いてフロアを交えたディスカッションが行われた。ワークショップ参加者からは、報告者への質問のみならず、多くの情報提供がおこなわれた。具体的には、オンライン授業におけるさまざまな課題やその対応策について紹介され、大規模授業におけるファシリテーション、TA制度の活用、またレポートなどの課題の評価方法などについて実践上の工夫が共有され、充実した議論がおこなわれた。最後には、授業実践について、継続的に教材や経験を共有する場は必要であることが確認された。

宇田川誠(東京大学)