概要
このたび、ケアに関するオンライン研究会を企画しました。
ケアの研究者や精神科医、心理カウンセラーなど、ケアする側からのケアについての声はよく耳にします。ですが、「ケア」には、ケアする側だけでなく、ケアされる側もいます。それだけでなく、ケアする側・される側の周り(家族など)も「ケア」に関わっています。であれば、ケアについて豊かに考えるためには、ケアされる側や周りの側からのケアについての声も聞く必要があるように思います。
そのような中、精神医療について語るさまざまな声をオートエスノグラフィーという手法で描いた研究が、2024年9月に発表されました。
精神医療を行う側の声だけでなく、医療を受ける側の声を聴くとはどのようなことか? それだけでなく、今まで見落とされてきた精神医療に関わる声を聴くとはどのようなことか? それらを聴くための方法論とはどのようなものなのか?
本研究会では、大野美子さんをお呼びして、「精神医療について語るさまざまな声」に関する研究を詳しくおうかがいします。さまざまな声を聴くとは何か、どうすればよりよく聴くことができるのか、みんなで考える時間を作りたいと思います。
イベント名称
しんりがく研究会「ケアする人のケアを考える──メンタルヘルスケアにおける「もうひとつの声」を聴くために」
開催日時
2025年6月15日(日)14時〜
開催方式
オンライン(Zoomを利用)
イベント詳細
- 発表タイトル:メンタルヘルスケアにおける「もうひとつの声」を聴くために
- 発表概要:治療や支援の現場に病や障害の当事者が参画する動きがあります。メンタルヘルスケアにおいても、「ユーザー/家族/専門職」が三者協働でよりよいケアや社会を構築していく「co-production」が少しずつ進んでいます。しかし、従来「ケアする側」と「ケアされる側」という異なる立場に置かれてきた者たちが、互いの声を聴きあい対等な立場で協働することは容易でありません。とりわけ、症状や診断名など専門家が作った言葉により自らの経験を記述されてきた患者たちが、自らの声で語るにはどんな工夫が必要でしょうか。
私は精神医療にユーザー/家族/専門職の三つの立場から関わりました。本発表では、キャロル・ギリガンの「声の方法論」や、ミランダ・フリッカーらの「認識的不正義」の議論に触れつつ、精神医療をめぐる経験を記述することの困難をオートエスノグラフィとして紹介します。「医療の言葉」と「病を生きる人の言葉」のずれや、声をだす/声を聴きとるための工夫について、参加者の皆さんとご一緒に考えられたらうれしく思います。 - 発表者 :大野美子(おおの・よしこ/大阪大学大学院人間科学研究科、精神保健福祉士・社会福祉士・公認心理師)
※司会は北本遼太(きたもと・りょうた/荒川出版会)が務めます。 - 参加費:700円(500円は発表者に還元されます)
イベントURL
主催・共催
荒川出版会
お問い合わせ
荒川出版会 arakawa.press@gmail.com
情報提供
荒川出版会