概要

オーストラリアからロバート・スパロー先生、キャサリン・ミルズ先生をお呼びし、講演会を開催いたします。

イベント名称

ロバート・スパロー先生、キャサリン・ミルズ先生 講演会

開催日時

2022年11月27日(日) 14時~17時20分

開催場所

東京大学 医学系研究科教育研究棟 13階第6セミナー室

本郷キャンパスへのアクセス
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map01_02.html
医・教育研究棟へのアクセス
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html

プログラム・イベント詳細

プログラム
 14時~14時10分 主催者挨拶
 14時10分~15時40分
 1.「ヒト生殖細胞系列ゲノム編集:私たちのゲノム編集の理由の本質について」
(Human Germline Genome Editing:On the Nature of Our Reasons to Genome edit)
    ロバート・スパロー(Robert Sparrow)(オーストラリア・モナシュ大学教授)
 15時50分~17時20分
  2.「ミトコンドリア提供改正法、母親であることとミトコンドリア病:
      オーストラリアにおけるミトコンドリア提供」
  (Maeve’s Law, Motherhood and Mito:Mitochondrial Donation in Australia)
    キャサリン・ミルズ(Catherine Mills)(オーストラリア・モナシュ大学教授)

*翻訳原稿、通訳等の補助あり。
*12月8日(木)に、京都大学でも、両氏の講演会を開催する予定です(午後2時から6時、詳細は応用哲学・倫理学研究教育センターのウェブサイトにて告知予定)。

1.Robert Sparrow氏
・プロフィール
 ロバート・スパロー氏は、モナシュ大学の、哲学課程教授、自動化された意思決定と社会のためのオーストラリア高等研究会議センター準調査員。新しい技術によって提起される倫理問題について研究している。京都大学の日本学術振興会外国人招へい研究者、香港の中国大学のCUHK生命倫理センターの客員研究員、カーネギー財団の客員研究員、シンガポール国立大学の生物医学倫理センターの客員研究員。ヒト・エンハンスメントと「新優生学」の倫理について広く発言している。

・発表abstract
「ヒト生殖細胞系列ゲノム編集:私たちのゲノム編集の理由の本質について」
(Human Germline Genome Editing:On the Nature of Our Reasons to Genome edit)
 デレク・パーフィットの『理由と人格』の出版以来、生命倫理学者は、生殖技術が未来の人々の福祉に影響を与えるかもしれない2つの異なる方法を区別する傾向がある。特定の個人に危害を及ぼしたり利益を与えたりする介入もある。それらは「人格に影響を及ぼす」。他方、多くの可能な個人の中のどの個人が生まれてくるのかを決定する介入もある。それらは「同一性に影響を及ぼし」、有名な「非同一性問題」を提起する。過去何十年もの間、生命倫理の議論は、たいていの場合、ヒト胚の直接的な遺伝的改変は人格に影響を及ぼすだろうという想定に基づいて行われてきた。だが本論文で、私は、ゲノム編集は当分の間人格に影響を及ぼすことはほぼありそうになく、その結果として、編集された個人には利益を与えることも危害を及ぼすこともないだろうと主張する。

2.Catherine Mills氏
・プロフィール
 Catherine Mills氏は、モナシュ大学の生命倫理学教授、モナシュ生命倫理センター長。研究対象は、とりわけゲノム学やヒト生殖における革新的保健技術に関する、倫理的、社会的、規制的問題。現在、オーストラリア研究審議会(Australian Research Council)により出資された研究計画に携わっている。これらの計画は、ミトコンドリア提供、非侵襲的出生前検査、エピジェネティックス、子宮移植、卵子凍結、胚選別のためのAIの使用、生殖補助サービスにおける商業的利益に関するものである。

・発表abstract
「ミトコンドリア提供改正法、母親であることとミトコンドリア病:オーストラリアにおけるミトコンドリア提供」
(Maeve’s Law, Motherhood and Mito:Mitochondrial Donation in Australia)
 2022年3月30日に、オーストラリア議会は、ミトコンドリア提供という生殖補助技術の臨床試験に着手することを容認する法案を可決した。このことにより、オーストラリアは、イギリスに次いで、この技術の実施の容認を法律で定めた世界で2番目の国となった。本発表で、私は、この技術の含意とこの技術が立法上重要である理由について説明し、オーストラリアとイギリスで、その律法の過程で、この技術についてなされたいくつかの主張について論じる。このことにより、技術によって提起される倫理問題に関して、とりわけ遺伝的な親であることの意味と意義、ヒト卵子のような第三者の生殖物質の利用、ヒトゲノムへの遺伝しうる変更の未来に関して、より広く考えることができるだろう。

主催・共催

科研費研究「欧米諸国の生命倫理に関する基本理念及び運用・制度の法学的、哲学・倫理学的比較研究」(研究代表者:小出泰士)」
共催:東京大学生命倫理連携研究機構(機構長:赤林朗)

お問い合わせ窓口

小出泰士(芝浦工業大学)(koide[at]sic.shibaura-it.ac.jp
児玉聡(京都大学)(kodama.satoshi.4v[at]kyoto-u.ac.jp
宇田川誠(東京大学)(udagawa77[at]m.u-tokyo.ac.jp

情報提供

小出 泰士(芝浦工業大学)