皆様ご存知のこととは思いますが、文部科学省高等教育局医学教育課より、「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)(案)」に関するパブリックコメントが始まっております。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185001251&Mode=0

意見募集期間が「7月22日~8月21日」までとなっており、締め切りまであまり時間がありませんが、以前の「平成28年度改訂版」と比べると、非常に大きな変更点が多々あり、基本骨格からして大幅な改訂が加えられています。

さらに、前の版では、下記のように「生命倫理(バイオエシックス)」「医療倫理」「臨床倫理」というタームが必ず学ばれるべき項目として明記されていました。
※下記以外でも、「生命倫理」というタームは他の頁でも重要なキーワードとして頻出しておりました。

ところが、「令和4年度改訂版」では、同じ「プロフェッショナリズム」という項目の中から、「生命倫理(バイオエシックス)」が消えただけでなく、全ページから「生命倫理(バイオエシックス)」「医療倫理」「臨床倫理」というタームが、一切削除されています。
残ったものとしては、以下の「医の倫理」のみです。

その代わりに(?)、今回の改訂で最も特徴的な「追加」項目として、下記のように「現代思想」「哲学」というタームが初めて登場し、「哲学」に関しては、「地域医療実習」の中でも取り上げられています。

この「モデルコアカリキュラム」は、医学部教育においては極めて重要で、現行の「平成28年度版」に基づいて、全国すべての医学部教育プログラムが構成されていると言っても過言ではないことは、皆様、ご承知の通りかと存じます。

かつて、各大学医学部の「裁量」に大きく委ねられていた「卒業試験」に代わり、コアカリを基にした「CBT」や「OSCE」が導入され、国家資格試験も、この「コアカリ」を元に出題もされますため、このまま「生命倫理(バイオエシックス)」「医療倫理」「臨床倫理」というタームすら、完全消失する「案」のまま決定となった際の悪影響を懸念しております。

また、この「医学教育モデルコアカリキュラム」は、これまでもそうであったように、「薬学教育モデルコアカリキュラム」「歯学教育モデルコアカリキュラム」「看護学教育モデルコアカリキュラム」にも、大きな影響を及ぼしてきたものでもあります。

以上のような点から、生命倫理学会に所属する会員諸氏から、できるだけたくさんのご意見を送って頂くことが重要ではないかと考えます。ここに会員各位に情報提供とパブリックコメントについてご案内を差し上げる次第です。

日本生命倫理学会理事会