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会長就任のご挨拶

akabayashi.jpg日本生命倫理学会 第10期代表理事・会長   赤林 朗この度代表理事を拝命いたしました。私は1988年の第一回大会で発表し、以後30年間、一貫して本学会の発展に微力ながら尽くして参りました。理事としても20年ほど勤めさせていただいたかと存じますが、いよいよ代表理事となり、責任の重大さを感じております。30年見てきておりますと、学会の長所、短所全てが把握できます。また、1988年から30年の間に、日本の生命倫理をとりまく状況は、大きく変化しました。その意味でも今、そしてこれからの本学会の果たすべき役割を再度深く考える時期に来ていると思います。

私としては、3つのIを大切にしていきたいと思います。

一番目は、Interdisciplinary approachです。本学会は4つの分野からの会員から成立しておりますが、これだけ学際性を持った学会は他に無いと思われます。従前は、法律の立場から、宗教の立場から、医学の立場から、等と言い放しで終わっていた感がありました。しかし真の学際性とは、互いの立場を十分理解したうえで、自分の意見を述べ、そして双方が合意できる解を見出す対話をすることだと思います。もちろん解がみつからない場合もあります。しかし昨今の情勢は、ゲノム編集ひとつとっても、なんらかの見解が求められる時代です。私は、この真の学際性を達成するために守るルールは一つだけだと思います。それは、各々の背景が異なっても「お互いに理解できる言葉を用い議論する」ことにつきると思います。そのルールをまもってさえいれば、繰り返しの対話の中から、なにか新しいものが生まれてくるのではないかと思います。本学会が、そのような対話の場、新たな知が生み出されるような場になるよう期待します。

2番目は、Integrityです。研究公正の文脈で用いられるときは、正直、誠実等の意味ですが、もう一つの意味があります。それは、完全な状態、全体性、さらには、自分の主義主張を持つ、という意味です。Product integrity といえば品質管理であり、preserve the integrity of the countryといえば、国土を完全に保持する、になります。日本の生命倫理政策等をみてきますと、とにかく自分たちでいつまでも決められない、議題設定ができていないのです。例えば終末期の延命治療中止のガイドライン等、様々な所で長い間議論されていますが、いまだに決まりません。私の申しあげたいことは、「自分たち(日本)のことは、自分たちで考え、解を出し、完結させなければいけない」、ということです。それができない国は、哲学がないのです。日本は、生命倫理の諸問題について、いつまでも外国に頼らず、自ら考え、自らの文化・多様性を尊重しながら、国際社会において認められる解を見出していかなければならないと思います。

最後は、Internationalizationです。恐らく多くの説明は必要ないかと思いますが、生命倫理の諸問題は、国境を越えます。日本だけの視点で考えていては、成り立たない時代です。生命倫理はこの30年の間、大きくグローバル化しました。日本も、グローバル化の中で、役割をはたさなければなりません。私は、現在国際生命倫理学会(IAB)の理事をしておりますが、残念ながら日本からの参加・発信はほぼ皆無です。私は、本学会と、世界の学会とリンクをつくることにより、人材交流を更に発展させたいと思います。今後は、日本からの世界への発信、国際社会、 Global Bioethicsにおける貢献を、学会として考えていくことが必要であると考えます。

これら3つのIを大切にしながら、先ずは、本学会のアップデートを推し進めたいと思います。事務局機能、理事会をはじめとする会議等、効率化、迅速化します。WEB会議システム等を導入し、またホームページも抜本的に改訂し、英文ホームページも作成したいと思います。ニュースレターや事務局だより等、従来郵送費をかけてお送りしていたものは、全て、ホームページで見ていただくようにしたいと思います。これらの効率化により、予算を、若手研究奨励、部会活動、国際交流等に回し、学会の活性化を図りたいと思います。

今年の大会は、12月に京都で、学会設立30周年記念大会となります。一つの節目であると思います。30周年記念の企画も準備されようとしています。どうぞ会員の皆様、本学会の発展のために、私も含めまして執行部一同鋭意努力する所存ですので、引きつづき、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

日本生命倫理学会・第10期代表理事・会長 赤林 朗
東京大学大学院医学系研究科・医療倫理学


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